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小林よしのり
2014.3.28 12:01

慰安婦でも、合法と、違法があったのだ


村山談話・河野談話に未来はあるか?

44回 東京新聞が報じた「元日本兵供述の資料」

の意味とは?(その3)

 

インドネシアでは抑留されたオランダ人女性が慰安婦に

なっていたケースがあったが、日本軍の方針は、あくまでも

本人の自由意思で応募した者だけを使うことになっていた。

抑留者を強制売春させるのは戦時国際法違反のれっきとした

戦争犯罪であるのみならず、日本軍の軍規にも

違反していたのだ。

 

だが実際には、その方針に違反した出先部隊もあったようだ。

インドネシアにおける慰安婦の多くは現地人だった。

オランダ人は少数で、主に幹部・将校向けだった。

日本軍の幹部・将校の中には、白人に勝ったことで思い上がり、

白人女性の慰安婦を求めた者もいたようだ。

そして、うまく自由意思による調達が出来なかった場合には、

違法行為の強制売春が起こっていたことも考えられる。

 

戦後、日本軍の戦争犯罪を裁く「BC級戦犯裁判」が各国で

開かれた。

オランダでも軍事法廷が開かれたが、慰安所の「強制売春」が

裁かれたのは スマラン慰安所のケースのみで、裁判では

死刑1名を含む11名に有罪判決が下っている。

 

東京新聞323日付記事に載ったバリ島の慰安所に関する

供述資料では、オランダ軍下士官の妻を慰安婦にした経緯

などははっきりしないが、「軍需部、施設部に強硬談判」して

工作費を出させ、口止め工作を行なったのだから、何らかの

後ろ暗いことがあったと見るしかない。

「これが完全に功を奏したと見え(慰安婦関連では)一件も

訴えが出なかった」というが、もしもそうでなければ、

スマランの場合と同様、BC級戦犯裁判にかけられていた

かもしれないケースだったのだろう。

 

この資料を持ち出した関東学院大教授・林博史や東京新聞は

この資料を「河野談話の裏付け」だとしているが、これは

あくまでも出先部隊による非行行為で、当時の日本軍全体の

方針としても決して認めていない犯罪だったということを、

まったく理解していない。

左翼学者や東京新聞は、当時は日本国内でも合法だった

売春と、当時も違法だった抑留女性に対する強制売春の

区別もつかないのだ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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